2011年12月12日

「蕎麦料理研究会」林幸子先生の練馬大根創作蕎麦料理に感嘆の声。


12月の練馬の風物詩となった「練馬大根引っこ抜き競技大会」は、当ブログでも紹介したが、その追録で江戸ソバリエ協会のほしひかる氏と料理研究家の林幸子先生(江戸ソバリエ)が、引っこ抜きに挑戦されたことを紹介した。



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これは、江戸ソバリエ協会のほしひかるさんから、同協会の「蕎麦料理研究会」で蕎麦料理として江戸東京野菜をテーマに取り上げたいと相談をうけたことから、今年3回ほど開いて戴いたが、前回開催した時に、今度は12月の「練馬大根」ではと提案した。

丁度、大会もあるのでお誘いしたら、体験したいとご参加戴いたもので、その時に抜いた「練馬大根」を使って蕎麦料理としての創作料理が披露された。



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当日、南青山のアトリエ・グーに林先生を訪ねたのは、ほしひかるさん、稲澤敏行さん( 潟Cナサワ商会 )、松本一夫さん( 江戸ソバリエ・ルシック )、安藤誠さん( 南大塚・小倉庵 )、そして、渡邉和嘉さん(JA東京あおば常務理事) の皆さん。




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最初に出てきたのは、春を思わせるような彩の良いお料理だが、これが練馬ダイコン料理だと云うので驚いた。

練馬大根の特徴は、市販の青首大根に比べると、肉質が緻密で水分が少ない。
先生は、「練馬大根の特徴であるクリスビー( パリパリ、サクサク )な食感を大切にしました。」と言う。

料理をクリックする。
@ マグロのづけを、桂剝きの大根で巻いたものをノリ巻きにしたもの。
A 練馬大根は桂剝きにして残ったものを利用して、輪切りにした練馬大根に、キュウリ、ショウガを挟んで串刺しにした。

もう一品は、大根の千切り、アボガド、蜜柑の皮、イタリアンサラミをライスペーパーで巻いた生春巻き、

さらに左上は、焼酎に大根のおろし汁を合わせたもの。
大根のおろし汁は、おろしが水っぽくなるので、捨ててしまうことが多いが、大根の甘さを生かしたもの。

呑み過ぎは良くないが、健康的なお酒に変身した。
いわゆる沢庵に代表される「大根臭」はなく、大根おろしの味わいが爽やかだった。



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大根だと風呂吹き大根は良く食べられるが、先生は、「風呂吹きだけではもったいない。」と言う。

フレンチマスタードをカツオ出汁と大根のおろし汁で伸ばしてミソを作り、蒸した大根にかけて、先生の好みで山椒を散らした。



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日本に昔からあった、ノンフライ緬は信州の「凍り蕎麦」だが、松本さんがお土産に持って来てくれたので、もう一品期待できそうだ。

凍り蕎麦をクリックすると、安藤さんが打ってきた、田舎蕎麦で十割の太打ちの平打ちと、二八が、今日のメイン。



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大根おろしは、安藤さん。

林先生は、家庭で使うおろし金よりは荒くおろせるものを使っていた。(写真をクリックする)




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メインディシュは、冬には嬉しい鍋料理。




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一見、「雪鍋風」だが、林先生曰く、「すずしろとうじ蕎麦」だと言う。
「とうじ」は、蕎麦をゆがいたり、湯通しするときに使う、「とうじ籠」のこと。

ほしさん曰く、「「とうじ蕎麦」は、「投汁蕎麦」と書いたり、「湯じ籠を使うから」とされたり、「冬至蕎麦」が民俗化したものではないかといわれている。」

したがって、凍り蕎麦を鍋に入れてほぐしたら食べる。

大根おろしをたっぷり入れて、( 鍋をクリックする )。
牡蠣とシメジが入って、火の通った練馬大根のおろしは甘い。

食べる時には、生の大根おろしをかけて食べるが、おろした大根が二度楽しめる食感。
練馬大根の特徴は、火が通ってもシャリシャリした食感が残るのが良い。





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「すずしろとうじ蕎麦」パートUは、安藤さんが打ってきた、十割蕎麦と二八蕎麦、蕎麦は山形の在来種。

これには大根おろしの他に、油揚げの他、水菜や豚肉なども入った。
これも、とうじそばで、煮込むのではなく、湯がいたところで、大根おろしをたっぷりとかけて食べる

これまでは、食材の味を引き出すために、塩味で戴いたが、そばの旨みも、練馬大根の甘みも生かされていた。




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次のお料理は、桂剝きにした練馬大根を、蕎麦の太さに合わせで切り、それを3〜4時間干すと、写真のようにしんなりとした感じになる。

それを二八蕎麦と合わせてゆでる。
冷たい蕎麦汁をかけて戴く「冷やがけソバ」。(写真をクリックする)

まさに、練馬大根ならではの、クリスビーな食感がたまらない。
大根臭も無いから、大根と言われなければ分からない、驚きがある。これはいける。

ほしさん曰く、「蕎麦大根はたくさんあるが、これは粋な蕎麦です。」

南大塚・小倉庵の安藤さんは、「渡邊さんにどこに行ったら、練馬大根は買えるんでしょう?」と盛んに聞いていたから、雑司ヶ谷ナスの時と同じように、新たなメニューが浮かんだのかもしれない。





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最後には、そば茶と一緒に、ロールケーキ。ブリオットチェリーのプツプツ感がまた美味しい。

林先生、ご馳走様でした。
今回も驚きのお料理で、練馬大根ならではの味が引き出されていました。


追伸、


市販の青首大根では、水っぽくてこの味は出せないようだ。

伝統野菜の「練馬大根は、江戸時代に、中山道の巣鴨辺りでタネを売っていたから、全国各地に持って行かれ、練馬系の大根が今も全国で栽培されている。

山形県庄内の干し大根、神奈川の三浦大根、加賀の源助大根、信州の前坂大根、遠く薩摩は指宿の山川大根と練馬大根の血が流れている大根が沢山ある。

ぜひとも、一度地元の伝統野菜で、このお料理をお試しいただきた。


これまでの「蕎麦料理研究会」

第一回
は、東京ウド、ノラボウ菜、亀戸ダイコン

第二回は、雑司ヶ谷ナス。

第三回 奥多摩ワサビでした。


追録




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表参道で下車して、南青山のアトリエグーに向かう道は、カルティエ南青山店がある等、落ち着いたファッションの街。
posted by 大竹道茂 at 08:07| Comment(0) | TrackBack(0) | そぱ・うどん・ソバリエ
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