世田谷区瀬田で農業を営む大塚信美さんは、伝統野菜の大蔵ダイコン栽培では第一人者。
平成9年に復活した大蔵ダイコンはF1で、揃いも良く、病気にも強い等から生産者も安心して栽培してきた。
勿論、消費者にも美味しいと喜ばれてきた。
しかし、代々伝えられて来た固定種の大蔵ダイコンも栽培して、次代に伝えようと栽培を始めたもので、昨年から大蔵ダイコンの生産者達に依頼して母本選定を始めた。
大塚さんに、F1と固定種の違いはなんですかと聞いてみた。
「味が違う、カブを食べているようだ」と云う。
今年、JA東京中央会が、江戸東京野菜を選定し認証したが、消費者が混乱しないように固定種の大蔵ダイコンを「伝統大蔵ダイコン」と命名した。

先日、朝からみぞれが降る寒い天候だったが、予定通り大勢の方々が大塚さんの畑に集まった。
世田谷の生産者では、当ブログで紹介した内海博之さんも参加されたが、集まったのは高橋義一さんなど世田谷を代表する生産者たち。
この母本選定会には、隣区の杉並区から井口幹英さんも参加された。
これは、10月に当ブログで紹介したが、杉並の伝統野菜として、江戸時代、源内という農民がつくりだした「源内つまり大根」が、伝統大蔵大根のルーツだと、話したことで、井口さんが伝統大蔵大根を栽培したいと参加されたもの。
東京都中央農業改良普及センター、世田谷区都市農業課、JA東京中央指導経済部、JA世田谷目黒からも担当者が出席した。

この母本選定会には、元東京都労働経済局主幹の植松敬さん(前列左から3人目)も参加された。
植松さんは戦後の東京都城南農業改良相談所時代に大蔵大根の栽培指導を担当、大蔵の石井泰次郎氏が、昭和28年に品種登録した時も手伝い、その写真も持っていて昔の大蔵大根に近づける母本選定会には欠かせない人物だ。
米寿を迎えた植松さんは、伝統野菜を守り伝えていくという我々の活動に「お役に立つことがあるなら、元気が出る」と言ってくれた。