埼玉県の川越市、所沢市、狭山市、ふじみ野市、そして三芳町にかかる、「三富」地域は、元禄7年、川越藩主となった柳沢吉安が新田開発を行ったところ。
この三富新田は、江戸時代の歴史とともに循環型の畑作農業を今日に伝えている。

近年、練馬区谷原から関越道が三芳町を通過して、越後や信州に繋がったことで、都心のバックヤードとして物流の中継基地・倉庫が雑木林(山林)を伐採して、あちこちに建てられ、歴史ある三富新田は蚕食が進んでいる。
一昨年の9月に「第一回「農」と里山シンポジウム」が開催されているが、当ブログでも紹介している。
今回は、第二回として「農あってこその都市社会」を理念に、その「現状の課題」、「将来への展望」などを議論した。
会場の、淑徳大学埼玉みずほ台キャンパスには、400名の方々が集まった。
プログラムをクリックすると、出演者のプロフィール。

基調講演は、進士五十八氏(東京農業大学名誉教授・元学長)の「農あってこその都市社会」。
1 三富との40年のかかわり、
2 「農」が持つ様々な力、
3 グリーンエコライフのすすめ
4 「三富」を次世代に、そして未来に
について、話されたが、詳細については、県川越農林振興センターの三富農業・平地林活用担当部長、岡本幸教氏がICレコーダーから書き起こすと言っていたので、パネル討論と合わせてできあがったら掲載する。
上の写真をクリックする 主催者及び来賓。

パネル討論会
「農あってこその都市社会」は鬼頭秀一先生(東京大学大学院教授)がコーディネーターにより、
パネラーは、進士先生、三芳町町長の林伊佐雄氏、そして私の三人。
鬼頭先生からは、最初ご指名を戴き「江戸東京野菜」に取り組んだ経緯と、現状について、皆さんの参考になればとパワーポイントで紹介した。
そもそもは、都市農業を守る運動をしてきた。
都民対策として、都市農地の役割をあらゆる機会をとらえて訴え、行動に移してきた。
1地産地消、2、景観・環境、3、農とのふれあい、4、災害時の避難場所など。
特に、観・環境を理解してといただくために、昭和62年から「農の風景フォトコンテスト」を10年間実施。
これは、都民に都市農地に興味を持っていただく、写真を撮りに畑に来てくれと云うもの。
その後は、平成9年からは、「景観コンテスト」に切り替えた。
審査委員長は進士先生にお願いしている。
これは、景観として評価することで、農地所有者に農地を保全する意識を持ってもらう。
昨年で15年を迎えた。
これまで216地点が表彰されたが、その後宅地化されたのは10軒以内にとどまっている。宅地化された原因は相続税が発生したからで、現状では仕方がない。
環境・景観は、進士先生に任せて・・・。
私からは、地産地消、フードマイレージからも、三富で生産された野菜を食べると云うシステムづくりの必要性について、話した。
これまで江戸東京野菜に取り組んで、その文化的な理解は進んだが、「何処で売っているの」「食べてみたい」が消費者の声で、三富の農産物を食べてみたいとする消費者は多いはずだ。
また、ネットワークづくりが必要だ。
三富には色々な組織が循環型の落ち葉掃きなどの活動を展開しているが、それぞれの活動を全てのグループが、情報を共有化するシステムづくりを提案した。
すでに「三富地域ネットワーク」があるが、当ブログのようなものをイメージしての提案で、年間を通して三富の情報を提供していくことで、行ってみたくなる。
「さんとめねっと」に期待するところが大きい。
進士先生からは、
上富地域を貫く六間道路は、かつてはケヤキ並木が美しかった。しかし現在は両サイドに倉庫などが作られるなど、美しさが失われつつある。
ケヤキが失われているところは、新たに植えるとか、手前にお茶の木を植えるとか、また倉庫を目立たなくするような修景をするなどして、美しく魅力的な地域づくりの必要性を話されてた。
また、林町長はマニフェストの中で、「農に親しむ緑豊かなまち」として、
心のふるさと、平地林を守ります。の他、
誰でもいつでも農に親しめる町になります。
農・商・工連携により、地域経済の活性化にとりくみます。
三富新田で世界一の「いも掘り大会」を開催します。
について、取組の意気込みを説明した。

三富アライアンスの幹事長・堀内一氏(東京国際大学大学院客員教授)からから活動報告があった。
上の写真をクリックする。
参加者には、「さんとめねっと」の資料が配られた。
さんとめネットの活動に参加したい方は、049-242-1810 まで連絡ください。
午前中の進士先生、鬼頭先生との「三富の視察」はここから
講演録
「農あってこその都市社会」
基調講演とパネル討論会の、講演録は4月になってから、
三富農業・平地林活用担当の 岡本幸教さんから届いたのでここで紹介する。