2012年04月11日
江戸東京野菜の普及に取り組む仲間から待望の農学博士が生まれた。
筑波大学大学院 生命環境科学研究科 国際地縁技術開発科学専攻の阿部希望さんは、加藤衛拡教授の指導のもとで研究を続けていたが、今年3月23日に念願の博士号を取得したと、電話をいただいた。
阿部さんは、大学院2年の時、ドクターへの登竜門、学会誌「農学史研究44号」に、研究論文が掲載されたと、掲載論文を持って私の勤め先に報告に来てくれたので、当ブログで報告している。
今年3月、「農学史研究46号」に再び、論文が掲載されたことから博士号の取得になったもの。
先日、わざわざ昭島まで博士(農学)学位論文を持ってきてくれた。
江戸東京野菜の普及に取り組む同志としてこの上ない喜びだ。
おめでとうございます。
阿部さんは、博士課程を受けている者が対象となる、日本学術振興会 特別研究員制度(給与と研究費を受けられる) にトライ、難関を突破して23年4月から25年3月までの間、同振興会の特別研究員として、筑波大学 生命環境科学研究科 農村社会農史学研究室に受け入れられ、研究に没頭している。
表紙をクリックすると目次
学位論文の、「第二章 一大種子集散地における大手種子問屋の機能と経営展開」が、「農学史研究44号」に掲載され、
このほど「第四章 水田地帯における野菜生産の発展と種子小売商の役割」が「農学史研究46号」に掲載された。
今後は、5月12日に名古屋大学で行われる学会で、「第三章 大都市近郊畑作地帯における採種管理人兼種子仲買商の成立と地方種子問屋への発展」を報告する予定だそうだ。
その後は、同三章の「農学史研究」掲載をめざし、二章、三章、四章、すべての掲載を願っている。
図表目次からも、その内容が読みたくなるというもの。
同学位論文については、
「近年、農業の近代化に伴いF1品種が広く普及し、地域の環境に適応した在来品種が急速に失われている。
在来品種の中には、今後の作物育種にとっても有用な遺伝変異が含まれており、生物多様性を保全する意味からも貴重な植物遺伝資源(種子)の保存・管理の重要性が高まっている。
近代日本の野菜種子屋の史的展開の解明は、現代における在来野菜品種の保存・管理を支えるための採種技術の再評価と、開発途上国における遺伝資源管理モデルの提示、及び、日本の伝統的な野菜育種技術の普及に生かすことが可能となり、
歴史学分野のみならず、蔬菜園芸学・遺伝育種学・国際開発学など、多様な研究分野から今後の研究の発展を期待されている。」
と評価されているだけに、出版も視野に入れている。
平成19年、筑波大3年生の時に江戸東京野菜で卒論を書きたいと訪ねてきた当時の阿部さんを思い出す。
同大大学院ドクターコースに進み、加藤衛拡教授をはじめとする学究や種苗商との出会い、そして本人の努力で博士号を取得したわけで、
母校都立園芸高校の後輩たちも誇りに思っていることだろう。
江戸東京野菜に携わる我々も同じ思いだ。
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