日野市の伝統野菜・東光寺大根の花が咲き始めたと日野市をテリトリーとするJA東京みなみの河野一法課長から連絡をもらった。
今年1月号の「とうきょう農紀行」に東光寺大根の奥住喜則さんご夫妻が掲載されていたので、東光寺大根の採種を行っているところを取材したいと河野課長にお願いしていた。
東光寺大根は、昔、板橋の薬屋が行商に来て、練馬大根のタネだといって置いていったものだと語り伝えられていると聞いた。
東光寺大根は、多摩川流域の日野の台地の上で、栽培されてきたが、今では漬物の需要が減ったことから栽培農家も激減し3軒になってしまったという。
案内いただいたのは、東光寺大根を栽培する奥住喜則さんのお宅。
種採を毎年行っているが、奥住さんは、11月の末から12月の収穫時に、好みのタイプをはじいて畑に仮植えしておく、30本ほどになったところで、再び畑に植え込むという。
練馬大根にも使い勝手によっていろいろなタイプが今日伝えられているが、東光寺大根は市場性や抜きやすいようなものが、そのタイプとされている。
東光寺大根を栽培する農家では、各生産者が個々に好みで選んでいるが、本来の特性、病気に強く抜きやすいスリムな形はどれにも生かされている。
上の写真は、東光寺大根(日野)、高倉大根(八王子)研究の第一人者、高尾保之氏( 東京都農業振興事務所係長 )に提供してもらったものだが、同氏は2004年に「東京多摩地域における‘高倉大根’と‘東光寺大根’の概観」を発表している。
上の写真をクリツクする
奥住さんのお宅では毎年4,000本を収穫し、干し大根にして漬物用に予約販売している。
奥住さんの干し大根は20年来の漬物名人たちが干しあがるのを毎年待っている。
「俺が漬けた大根が一番うまい」というオタクが何人も居るという。
一部は奥住さんが漬けて、庭先売りで販売するが、すぐ売れてしまうという。

日野市が作ってくれた看板。
「まちのお宝 発見事業」で東光寺大根への期待は大きい。
帰りに貴重な沢庵をいただいたが、パリパリとした歯触りと食感は、こだわりの顧客がいることがうなずける。
当日ご案内を頂いた河野課長が、当日の様子を日本農業新聞首都圏版に寄稿していただいた。
奥住さん、河野課長お世話になりました。