南多摩では、日野市の「東光寺ダイコン」と八王子市の「高倉ダイコン」が伝統野菜として有名で、地域の食文化を育ててきた。
4月下旬だったが、JAの課長から「東光寺ダイコン」の花が咲いたと連絡をもらって、取材した話は、当ブログで報告した。
同じような来歴の「高倉ダイコン」は写真を探しているが、高倉大根研究の第一人者、高尾保之氏( 東京都農業振興事務所係長 )も、収穫間際の葉がついたままの写真は持っていないという。
そこで、JA八王子の立川正晴代表理事組合長に直接電話をして、今も生産している方を紹介してほしいと頼んでみた。
立川組合長は、現役時代に親しくさせていただいていたので、無理なお願いかとも思ったが快く、石川町の立川太三郎さんを紹介していただいた。

東光寺ダイコンの種取りを見せていただいてから2週間以上経過してしまったので高倉ダイコンの花はどうなっているかと心配していたが、立川さんは「今咲いている!」と採種の様子を見せてくれた。
写真はお持ちでないかと伺ったら、干した大根の写真を見せてくれた。

連休明けの晴天で、高倉ダイコンの母本は立川さんが選んだ好みの5本で満開だった。
高倉ダイコンは幾つも莢をつけていた。
立川さんは、「抜きやすいからと細いものより、どちらかと言うと ”ふっくら” したダイコンが好みで、その方が柔らかいので、そんな大根を残している」と語っていた。
立川さんの話では、石川、高倉町一帯は秋から冬に移る頃は、大根を干す光景が連なって、八王子八十八景にも選ばれていたという。
干し大根の生産者は、揃いのいいF1品種のタキイ種苗「耐病干し理想」に切り替えていて、4〜5年前から固定種の高倉大根を栽培しているのは、立川さん一人になってしまったとか・・・。
織物の町八王子では、織物工場などに女工が多く働いていたから、野菜の少ない冬場の保存食として沢庵漬けが食べられ、半製品の干し大根がよく売れた。
若いころは、三輪トラックで遠く淀橋市場(新宿)にも持って行っていっていたとか・・
立川さんは、伝統野菜については造詣が深く、かつては馬込三寸ニンジンや、馬込半白キュウリ、大蔵ダイコン、亀戸ダイコンなども栽培したことがあるそうだ。

立川さんは地域社会にも貢献していて、サツマイモで「芋堀体験」も実施していて、地元の小学校3年生に農業体験をさせている他、市民センターが実施するサツマイモの収穫体験では毎年4団体が申し込んでくるという。
写真は、ハウス内に作られた「芋床」で、大量の苗が作られていた。
地元3校の学校給食にも協力している。

お話を聞いたお部屋には、丹精込めた蘭の鉢がいくつも置いてあって、部屋中かいい匂いがしていた。
今年は寒かった分、ここにきていい匂いを漂わせているという。
立川さんの、お嬢さんの冨美子さんが、書き込みを頂いたが、ご自身のブログでも紹介を頂いた。
書き込みのお名前をクリツクするとリンクします。ご覧ください。
立川さん、ありがとうござ゛いました。
立川太三郎の娘の立川富美子と申します。
先日は父への取材ありがとうございました。
ブログに大竹さんのブログを紹介させて頂きました。
まだまだ知らない地域の野菜のことを私も大竹さんのブログで学ばせて頂いております。
これからも記事を楽しみにしています。