野菜の学校でお世話になっている「食生活ジャーナリストの会」の脇ひでみさんと、草間壽子さんから、同会が「50℃洗い」の勉強会をするというお話を聞いたので、仲間に入れてもらった。
「50℃洗い」は、昨年だったかテレビで初めて見たとき、不思議なこともあるものだと、驚いたものだ。
その後、何回かテレビで見る機会があったが、料理人たちの勉強会で肉まで甦り、全員が驚いているのを見て、一度、先生のお話を聞きたいと思っていた。

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「食生活ジャーナリストの会」が主催して行われた勉強会は、18時半から青山の東京ウィメンズプラザに、平山一政先生を迎えて行われたが、大勢のジャーナリストが集まった。

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平山先生はスチーミング調理技術研究会の代表をされていて、50℃洗いを早くから提唱されていた。
先生の話といただいた資料によると、
50℃洗浄のやり方と留意点
50℃の湯に手を入れると、初めは熱いが短い時間であれば耐える事ができ、火傷をすることもない。
食材を洗浄するために素手で出し入れでき、熱くて我慢が出来なければゴム手袋をすれば作業は問題なく行える。
食材は50℃の湯で元気を取り戻す状態になる。
湯につけている時間が長くなければ細胞も生き続けるという。絶妙な温度であることがわかった。
食材に50℃の湯を均等に浸すには、容器に温水を溜め、洗浄する方がやりやすい。
食材の投入による温度低下を補うには50℃の湯を補給すればよい。
野菜の葉物の場合は50℃のお湯に素早く全体を浸し、10秒から20秒間湯の中で汚れの多い部分を揺らして洗浄する。
キャベツや白菜、レタスを丸ごと洗う場合には2−3分くらい全体を没し、作業中の湯温を一定に保つため、50℃の湯を少しずつ補拾するとよい。
溜めた湯槽で行う場合、湯温は徐々に下がるが、温度に注意し42〜3℃以下にならない様に注意する必要がある(腐敗菌の生存温度に近くなる)。
汚れはよく落ち、そして網篭に引き上げ、少し放置すれば乾き始め、弱り始めていた野菜も徐々に取立ての様に甦る。
色艶は鮮やかに、生臭みは消え、野菜のうまみも流出することなく、むしろ美味しく、香り良く、甘味を感じる様になる。日時の経過により鮮度の落ちた野菜も驚くほど変化し、その後の保存期間も飛躍的に延びる。
伝統野菜の固定種は市販のF1に比べ、日持ちがしないものもあることから、効果的と思われる。
50℃の湯から上げた後、さらに品質を保持するための手段として、冷水や、氷、ブラストチーラーによる冷却を行う場合もある。
各種野菜の50℃洗い
野菜の場合、葉茎類、果菜類、根菜類、その他の野菜類等、ほとんどのものに有効であ
り、更に果物や生花にも効果的だという。
保存中の日時が経過するとヌメリ、生臭みが生じる野菜、例えばモヤシの場合、生臭み
汚れは良く取れる。作美中に臭気が発生し、放散することがわかる。鮮度低下による廃棄
も減少する。
果菜のトマトや果物の場合、50℃の湯につけるだけで汚れは取れ、色艶は良くなり、多少鮮度の低下したものは果肉の張りが戻り、取り立ての状態になる。つけている時間にもよるが、果実を熟す効果が生じ、酸味を円やかにし、甘みは強く感じる様になる。
キノコ類を50℃の湯で洗うと、汚れは良く落ち、香りを出し、水分の蒸発は良く、色鮮やかになり、過去の常識を覆すものとなる。
肉類、魚介にも有効
肉や魚介も50℃のお湯洗浄を行うと、まったく同様の効果を上げる。
肉類は加エする段階で、カットされた部分が空気に触れ、揮発成分が蒸発し始め、空気中の酸素に結合して酸化物を生成し、アクとして付着し始める。この成分を50℃洗いで取り除くことができる。
魚介も同様に水中から外気の中に置き、又、加エのためカットされるが、時間と共にヌメリも生じ、酸化物が付着する。
貝類には海底の泥や砂も付着しているが、こうした汚れを簡単に取り除くことができ、穀の内側に取込んでいる砂なども吐き出してくれる。
海藻も海中の汚れ、収穫時の汚れ、又、陸上で生成した酸化物も容易に取れる。
“50℃洗い”は、以上の他、農業や加工・流通、医療や健康、介護の場面でも大きな貢献をする可能性があるという。
たとえば、農産物の栽培では、農薬の代わりを果たす実験も行われ、効果を上げているという。
そんなことがあるのかと、半信半疑だったが、平山先生から直接お話が聞けたことで、納得しました。
平山先生ありがとうございました。
また、この機会を作っていただいた「食生活ジャーナリストの会」の皆さんありがとうございました。
平山先生がお書きになった ”おいしい「50°C洗い」すすめ” の資料をいただいた。
余談だが、この冊子、八田尚子さんが編集を担当していて解りやすい。
八田さんは、私が監修した「江戸東京野菜」図鑑編の執筆を担当されていて、現在も、野菜の本づくりでご一緒させてもらっている。