2012年09月20日

宮澤賢治が愛した理想郷に、若い力で伝統野菜「仙台白菜」の定植作業が行われた。


仙台朝市 今庄青果の庄子泰浩専務から、久しぶりにメールをいただいた。
メールによると、仙台市内は地震以前の状況に戻りつつあるようだが、沿岸部では津波被害からはまだまだ抜け出せない状況が続いているという。

一昨年からはじまった食育活動、仙台にある私立明成高校・調理科リエゾン・キッチン(地域連携活動部門)「みんなの白菜物語プロジェクト」の活動は、震災を乗り越えて大きな広がりを見せているという。



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活動を支援している庄子専務にも、応援してくれる仲間が増え、今期は白菜の定植から栽培にまで広がっているようだ。
何でも、白菜が織りなす不思議なご縁が繋がり、岩手県花巻市にある宮澤賢治が自耕した畑を借りることができたという。
「宮澤賢治が愛したイーハトーブ。まさか自分と宮澤賢治が繋がるなんて夢にも思いませんでした。」と専務の興奮が伝わってくる。



今回のご縁は、私立明成高校の高橋信荘先生が、宮澤賢治の妹のお孫さん、宮沢和樹さんと仙台二高の同級生だという。さらに、仙台白菜の品種改良で知られる種苗会社、渡辺採種場の、私もお会いしたことのある渡邉頴悦社長のご長男も同校で同級生とのご縁から、「下ノ畑」につながったという。



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「下ノ畑二居リマス」、と伝言を書き残し、農作業に出かけた賢治自耕の畑」



  白菜畑

霜がはたけの砂いっぱいで
エンタシスある柱の列は
みな水いろの影をひく
十いくつかのよるとひる
病んでもだえてゐた間
こんな冷たい空気のなかで

千の芝罘白菜は
はじけるまでの砲弾になり
包頭連の七百は
立派なパンの形になった


ここは船場を渡った人が
みんな通って行くところだし
川に沿ってどちらへも抜けられ
崖の方へも出られるので
どうもここへ野菜をつくっては
盗られるだらうとみんなで云った
けれど誰も盗まない
・・・・・・
宮澤賢治の詩集『春と修羅』第三章「白菜畑」より(1926年発表)



「文学しか知らない者たちがこの詩を読めば、砲弾という言葉が戦争に関連した物にしか聞こえないのでしょうが、白菜をこよなく愛する僕たちには、砲弾型の結球白菜がこの時賢治の畑に植えられていた事実にとんでもない驚きを感じます
半農生活を送る賢治に食料の確保の難しい東北にこんな保存性の高い美味しい農作物が育つことに対してどれほどの喜びと感謝の念を抱いたことか・・・。
まあ、そんな妄想をしながら、賢治の畑に・・・。」
と、庄子さん。

明治時代に、我が国に導入され、歴史に名を留める、芝罘(チーフー)白菜や包頭連白菜を賢治が栽培し、「白菜畑」に詠われていたことは驚きだ。

それまで、漬菜と云えば江戸の昔から三河島菜だった。
それが関東大震災(大正12年9月1日)で大きな被害を受けた東京に、翌年の大正13年、大量に入荷した仙台白菜によって、多くの東京市民は震災からの復興へ、大きな活力をいただいた。

以後、日本の漬菜文化は、白菜漬けが東京から全国に発信され、普及していく事になる。

白菜物語にまた一つ、賢治の「白菜畑」が加わったと云っていい。





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白菜の根が地中3m以上に細根を張り巡らして成長するように、仙台白菜のご縁も不思議なくらいのご縁を織りなしているようです
ますますこの取り組みが楽しくなってきますね」
と庄子さん。




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画像をクリツクすると拡大する。


画像(昨年10月撮影) は、津波に飲み込まれた松島湾に浮かぶ浦戸諸島の野々島で、「みんなの白菜物語プロジェクト」の生徒やOBたちが耕し、塩害に強いと云う松島新二号(固定種)を播種し採種活動を行い、膨大な量のタネを収穫をすることができたという。

そして、その苗が、先日「下ノ畑」に定植されたもの。

庄子専務のメールに、「商人の立場からできる精一杯の応援をしているつもりですが、力不足で・・・・。」とあったので、

賢治の愛した理想郷、「下ノ畑で栽培した白菜は買うことができますか!」、と訪ねると、収穫する頃になったら今庄青果のホームページで受け付けるという。

楽しみだ。



追録

私の友人小野賢二君の奥様が、宮澤賢治の研究者だということは、当ブログで紹介したが、早速、電話で庄子専務の手紙を紹介したら、「まだ畑があったんですか!」と、驚いていて、「朝から良いニュースを、ありがとう」と云われた。


庄子専務からの追伸に。

10月15日月曜日NHKBSプレミアム午後8時から9時まで
「きらり!えん旅スペシャル」という番組で谷村新司さんが仙台を訪れてくれました
その中で曲り葱の産地と沿岸部をご案内させていただきました、お時間がありましたらご覧ください。



posted by 大竹道茂 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 全国の仲間の話
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