江戸ソバリエ協会主催、江戸蕎麦料理研究会協力による、第1回 江戸ソバリエ・レディース・セミナー 「江戸蕎麦料理 冬の章」が16日南大塚の小倉庵で開催された。
江戸ソバリエのみなさんとは、ほしひかる先生(江戸ソバリエ協会 副理事長&江戸ソバリエ認定委員長)を通して親しくさせていただいていて、昨年4月に、江戸蕎麦料理研究会が南青山のアトリエグーで開催された時に、お誘いを受け林幸子先生の江戸東京野菜を使った蕎麦料理をいただいたが、その発想力に驚いたものだ。

11月1日にほし先生からメールをもらった。
これまで6回にわたって江戸蕎麦料理研究会が開催された事は当ブログで紹介したが、
研究会だけにとどめておくのはもったいないので、セミナー的なことを企画して江戸ソバリエさんたちにも広めたいと云うもの。
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なんでも、江戸蕎麦と江戸東京野菜(春夏秋冬)を、江戸ソバリエ認定の店で食べるというもので、とりあえず江戸ソバリエ認定の小倉庵さんで開催したい。
まず、料理に関心が高く、伝播力もある女性を対象にした、江戸ソパリエ・レディース・セミナーを12月16日に開催し、様子を見て男性も含めた会に広げていきたいと云う。
第T部 セミナー
「江戸東京野菜とは」について、江戸ソバリエ講師として話してくれと云うので、今回の食材、練馬大根(練馬産・渡戸秀行氏)、伝統大蔵大根、伝統小松菜(以上都立園芸高校産)、亀戸大根、品川蕪、三河島菜(小平・宮寺光政氏)、について、品物を見せながら物語なども紹介した。
因みに、伝統大蔵大根は葉までついている大根を皆さんに見せたいと、ほし先生が都立園芸高校の横山修一先生に会って頂いてきたもの。立派な大根だからほし先生は重かったにちがいない。
この大根、今年は日本橋高島屋、新宿高島屋、玉川高島屋に、お節用にも出荷されている。

テイスティングは、料理研究家 林幸子先生の指導で行われた。
練馬大根、伝統大蔵大根、亀戸大根、品川蕪を、縦切りと横切りで味の違いを知るのだという。
初めは、何も付けないで、そして蕎麦味噌をつけて食べるのも良し。
伝統大蔵大根、練馬大根、亀戸大根、そして品川かぶの順に、テイスティング。
どれが美味しかったか!の問いに、皆さん断然、伝統大蔵大根だとして手を上げだ。

一、風呂吹き大根
練馬大根、
一、漬(づ)け大根と蕎麦の手巻寿司
練馬大根、
小海市南相木在来種蕎麦
一、霙(みぞれ)とうじ蕎麦
練馬大根、青茎三河島菜、伝統小松菜、
南相木在来種蕎麦
一、渋皮煮クリームの蕎麦粉ロールケーキ
練馬大根、
風呂吹きは、2回茹でこぼし、水につけてさらす。
出汁は、すこし濃いめ、塩と昆布で、だしの中のとおぼろ昆布がまた美味しい・・。
大根にはおぼろ昆布が乗っていた。
写真右は、林先生が今朝思いついた「大根パスタ」、今日のメニューには載っていない。
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ピーラー(野菜・果物の皮むき調理器具) で、外の皮をむいた、次の繊維質をパスタ状に剥く。さっと湯通し、唐辛子をかけ、そば汁でいただく。

練馬大根、小海市南相木在来種蕎麦
練馬大根をそば汁に3時間漬けた。
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そばで軽く巻いたもの。左上は、かじったところだが、大根の食感と蕎麦の食感の違いを楽しめ、海苔の香りも食欲を増進させる。
練馬大根、青茎三河島菜、伝統小松菜、
南相木在来種蕎麦
店の調理場から煮立った土鍋が一つひとつと運ばれてきた。
蓋をあけると大根おろしがたっぷりと入り、みぞれ状になっていた。
皆さん、期待を込めて鍋の中を覗き込む。
大きな大根の3分の2を、大きなおろし金でおろしたとそうで、ここで林先生からおろし方のノウハウや、おろし器選びの注意事項がある。
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右下から青茎三河島菜、油揚げ、伝統小松菜、豚肉。
林先生の食べ方の説明を聞いてから・・・、
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野菜と肉を霙の中で湯がいてから、みぞれを絡めていただく

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ここで、お蕎麦(二八蕎麦) が出てきた。
そばを一口分籠に入れて、そばを温めで食べるのだが、一つひとつの手間が、美味しさを助長する。
林先生が、信州名物とうじそばをいただく際に使うとうじ籠を手にして、「お土産に良いですね!」
と云ったら、「受講者の中から、手作りなので2000円もする」と聞いて、「お土産には向いていないですね!」と訂正。
江戸ソバリエとしては、持っていたい道具の一つだ・・・・・
午前中、品川神社で行われた品川カブの品評会に行ってきたが、大塚好雄さんの奥さんが漬けた品川カブの糠漬けをいただいてきたので、皆さんに出してもらった。根も葉も美味しく頂けた。

そば粉で焼いたスポンジで、栗の渋皮煮とクリームを一緒に巻いたロールケーキ。
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ソバリエの1期から9期までのみなさんは、美味しい料理を食べての幸せ感が高揚して、楽しい会話が弾んでいた。
ご参加されたソバリエのみなさんは、春、夏、秋の章にもぜひ参加したいと云ってくれたのは、嬉しいことだ。
ソバリエとのしての知識・体験の上に、さらに、江戸東京野菜のうんちくが加わったことで、皆さんが江戸東京野菜を広めていただけることを期待している。
最後に、再会を祈念して、松本一夫氏の発声で三本締め。
同会の三上卓治会長を初め、スタッフの、ほしひかる先生、寺西恭子先生( 江戸ソバリエ認定講座講師 )、安藤誠氏と奥様( 南大塚・小倉庵店主 )、松本一夫氏( 江戸ソバリエ・ルシック)、ゲストの渡邊和嘉常務(JA東京あおば)
うどん文化圏の関西から来て、江戸蕎麦の勉強をしたソバリエ小野以秩子さんの自己紹介に、ゲストの渡邊常務が東京の多摩地区(武蔵国) に伝わる「糧(かて)うどん」の文化を紹介した。
上の写真をクリックすると、松本さんが記念写真を撮ってくれた。
ソバリエの中には、小金井市の「江戸東京野菜でまちおこし連絡会」でお世話になったJTBの日高啓華さんもいて、自己紹介で江戸東京野菜にエールを送っていただいた。
武蔵野美術大デザイン情報学科4年の古川唯衣さん(左端)は、江戸東京野菜を卒論のテーマにしているので、私のカバン持ちとして主催者にお願いして加えていただいた。
寺西先生が稲わらで作られた来年の干支「巳」の作品をいただいた。
昨年の「辰」の作品も素晴らしかったが・・・・・、
農の文化を次代に伝える素晴らしい作品だ。
寺西先生ありがとうございました。
先日は、江戸野菜のセミナーありがとうございました。「東京と野菜作り」が、何だか結びつかなくて、どういった内容だろうかと不思議な気持ちで参加させていただきました。日頃何も考えずに買っていた大根にもこんなに味の違いがあること、育てやすさや見た目の良さに重点をおくあまり、本来の野菜の美味しさを忘れてしまっている現代の日本人に警鐘を鳴らすようなセミナーでした。
後日、小学校や会社で食育セミナーを開いていらっしゃることを知って、以前、お仕事させていただいた、サンフランシスコの有機野菜のレストランオーナーでありアメリカの食育推進家の事を思い出しました。食は、その国、その地方の奥深い文化ですから、是非守り伝えたい・・・そう痛感しました。ご活動を応援しています。