2008年12月01日

【12月号】江戸野菜は不ぞろいでも栄養価が高い


  10月:下旬から旬を迎えている江戸東京野菜、今年は順調な生育をみせて、各地で伝統野菜の個性的な魅力に出会った消費者の皆さんからメールが届いています。

  江戸東京・伝統野菜研究会では「江戸東京野菜の食べ方教えて!」の声に応えて、酒井文子の「食を育む窓」で江戸東京野菜の食べ方を紹介している。

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小金井市の飲食店では、江戸東京野菜をつかった料理を
出す店には、このタペストリーが扉に掛かっています。



●ボリュームで負けてしまう。

  江戸東京野菜の栽培は、生産者の理解もあって増えていますが、産地での直売などでは販売に苦戦しているケースもみられます。昨年、初めて栽培を決意した生産者の話しです。蒔いたタネは、小松菜の固定種(ごせき晩生)、いわゆる伝統小松菜と、高級食材として人気のあった金町コカブ、そして白軸の亀戸ダイコンと、のらぼう菜の四種類。丹精して栽培された江戸野菜は見事に生育しました。

しかし地元の農産物直売所に出荷したものの中々売れないとの落胆の生産者の声。 直売所で様子を見てみると、亀戸ダイコンは隣に置かれた青首ダイコンに、金町コカブは、一回り大きい普通のカブに、ボリュームで負けてしまい、消費者はお得感からか、大きめの青首ダイコンや普通のカブに手を伸ばすという状況でした。

そこで、新聞各社の支社に、江戸野菜についてのニュースリリースを送り、数社が取材してくれ掲載されたことで、やっと完売にこぎつけました。これは、江戸野菜がまだまだ知られていないと言うことで、今後は、生産者も市場関係者も、また飲食店の方々も、江戸野菜にまつわる物語や食べ方など、共通認識を持つことで、江戸野菜の付加価値として消費者に提供していくことが必要でしょう。

●伝統野菜は不揃い

  伝統野菜(固定種)は一般的に、病気に弱く、収穫時期の旬が明確に決まっていますから、周年栽培は不可能。しかも生育が不ぞろいで、収穫時には収穫しにくい、さらに売り場では日保ちが悪いなどの問題もあり、生産者ばかりか青果商レベルでも扱いにくい野菜であることは事実で、これらが原因で、徐々に生産されなくなってきた歴史があります。

  このようなことから、種苗業界では需要の多い野菜については、これらの問題を克服するための研究がなされ、市場流通がしやすいような経済的な数々の交配種が育成されてきました。

しかし今も残る伝統野菜は、昔の野菜ですから、昔の流通にはなじんでも、今日のように何段階にも分けられた規格によって、芸術的とも思えるほど段ボールの中で揃って並んでいるような流通には馴染まない野菜なのです。

それは生育が不揃いだからです。どうしても市場流通をするには、今日の市場流通に馴らされた卸、仲買、そして消費者にも、「伝統野菜は不揃い」であることを理解していただかないと生産者への不信感が生ずる恐れがあるからです。

伝統野菜の生産は、大産地と異なり小規模な生産体制で栽培していますから、生育状態のいいものから収穫していっても、大きさの違い、曲がっているものなどさまざまで、それを規格に合わせて分けていたのでは、出荷するものは無くなってしまいます。形が悪くても旬の野菜はもっとも栄養価が高い野菜なのです。


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大きいもの曲がったものなど不揃いの伝統野菜(品川大長カブ)



●美味しくないと言われて

  昨年、これまで栽培されていなかった伝統野菜のタネを見つけて、同じように伝統野菜の復活に情熱を燃やす友人につくってもらいました。姿形が面白くこれまで同種の野菜は栽培されていなかったから、今後、需要もあるのではと考えて、市場に出荷してみましたが、数日後市場から帰ってきた言葉は、「料理屋さんから、美味くないと言われた」というもの。

あきれた・・・、数の少ない貴重な伝統野菜「美味い、不味い」なんて簡単に言って欲しくない。「美味しく料理するのが、料理人だろう」ときつい言葉を返してしまったが、不味いからすたれていった歴史も伝統野菜にはあるわけで、とりあえず試しに色々料理をしてみました。

それが漬物にしたとたん、なんて美味しいことか、今年は品川の青果商がその野菜を一手に買い取り、根から葉まで一本丸ごとの漬物にして売り出した。今では美味しいとリピーターが増えているそうで、伝統野菜がまた一つ残るとの手応えを感じています。

posted by 大竹道茂 at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 小金井市での取り組み
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