2009年02月01日

【2月号】 春を待つ亀戸ダイコン


七草に亀戸ダイコンづくりの第一人者、葛飾区高砂の鈴木藤一さんのお宅を訪ねた。奥さんが直売所に出しているキンセン花が畑の一角に咲いていた。

北側に竹がさしてあり、キンセン花を守るように枯れた葉先が揺れていた。これを見て、まだビニールが農業資材として導入される前のこと、この時期の小松菜畑には、霜除けのため一面に笹の枝がさしてあったのを思い出した。

笹の枯れた葉が霜を受け止め、小松菜の葉は痛まずに生育するエコ栽培だった。昔は晩秋になると小遣い稼ぎの若い衆が笹売りに来たものだ。

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6月に農文協から発行する予定で「江戸東京・伝統野菜 図鑑編」の監修をしているが、これまでに江戸東京野菜の「これを作らせたらこの人」という代表的な生産者を取材してきた。


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亀戸ダイコンは代表的な江戸野菜。これは鈴木藤一さんを外せないので、昔から親しくさせていただいていた関係で、無理やり取材を受けていただいた。

10月頃にお願いしたが、亀戸ダイコンは、3月が旬だから、遅いほうがいいと云うことでこの時期になった。

亀戸ダイコンは、青物の出回りが少ない春一番に出荷されるダイコンだから、江戸ッ子は根も葉も一緒にヌカ漬けにしたり、味噌汁に入れたりして早春の野菜を味わった。




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特に鈴木さんの曾爺さんの頃に突然変異で生まれた白茎(シロジク)種は従来の薄緑色の茎のものよりダイコンも葉も柔らかく、しかも葉にあるチクチクした繊毛がないことから、江戸ッ子は三倍の値で買い求めたという。




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それから鈴木家では白茎を守り自家採種を続けてきた。
「市販のタネも元はうちから出たものですよ」と鈴木さん。帰り際に、取材チームの銘々に七草のパック詰めを頂いた。このパック柴又6丁目の葛飾元気直売所に250円で2〜3日前から出しているとか、

フタを空けると小ぶりの亀戸ダイコン(スズシロ)と金町コカブ(スズナ)が存在感を示し、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザも鈴木さんが栽培したもの。

「葛飾でこのパックを作っているのも二軒だけになった。昔からの日本の文化だから、次の世代にも伝えたいね・・」とは鈴木さん。


posted by 大竹道茂 at 23:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 粋な江戸っ子は白首大根
この記事へのコメント
突然申し訳ないですが、亀井大根をおつくりになっておられる鈴木さんに亀井大根の種をお分け頂くことは出来ないでしょうか?
江戸の伝統野菜を絶やしたくないと思いまして
何卒お願いを致します。
Posted by 武田健太郎 at 2020年01月28日 11:50
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