2013年01月11日

東京・三田ゆかりの野菜「筍」と、薩摩藩上屋敷跡地。


ある対談で、フードジャーナリストの向笠千恵子先生が、「三田にはゆかりの野菜は何かないですか!。」と訪ねられた。三田は先生の母校慶應義塾大学があるところだ。

その時、「三田には、薩摩藩の屋敷があったから、孟宗竹が三田の伝統野菜です。」と答えていた。
江戸に初めて孟宗竹が持ち込まれたのが、薩摩の八代藩主・島津重豪が将軍家への献上したもので、江戸城内吹上御苑に植えられた。そして同藩の上屋敷(三田)、下屋敷(品川) に植えられている。

先日、「料理王国」新年シェフ交流会で赤羽橋まで行ったので、薩摩藩上屋敷跡の辺りを歩いてみた。




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明治神宮の菖蒲園の奥にある清正井を源泉とする渋谷川に架かる赤羽橋を渡ると、かつて首都高を渋谷川の上に建設したことで、橋の一部が保存されていた。

上の写真をクリックする
上屋敷方面に交差点を渡った角に、伏見三寶稲荷神社。
此の辺りは、ビルばかりかと思いきや、都心には珍しくなった緑を大切にしている民家が何軒か残っていた。





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丸に十の字は薩摩藩主・島津家の御紋。遠くからそれとわかる碑が建っていた。

上の写真をクリックする
道路を渡って気づいたが、丸ではないが道路にも十の印、





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上の写真をクリツクする
碑文には
「この付近は、かつて三田四国町といわれたところで 昭和39年の住居表示の改正により芝2・3丁目となった。

四国町の名は明治5年以来公式になったもので 江戸時代から 三田通り一帯を含めていつたものである。その由来は昔ここに四国の大名屋敷(阿波徳島・土佐高知・讃岐高松・伊予松山の各藩邸) があったといわれている。

この地には 江戸時代初期以来薩摩藩の上屋敷があった 慶応3年(1867)明治維新の発端ともいえる 薩摩屋敷の焼打ち事件があり 明治初年には屋敷あとのあちこちには はらっぱや空地が残り人々は 薩摩っ原と呼んでいました。」
とある。

倒幕派の薩摩藩は、幕府を補佐する佐幕派によって上屋敷は焼かれてしまった。

松平薩摩守(薩摩藩島津家) の北、道を挟んで美濃守遠山(美濃苗木藩遠山家) があるが、遠山家ではご近所のよしみで島津家から筍をいただいていたとの記録がある。

新宿御苑の記録によると、明治政府は明治5年(1872)、内藤家の江戸屋敷跡に内藤新宿農事試験場(現・新宿御苑) を開設し、明治10年(1877)に、三田の旧薩摩屋敷跡に分場「三田育種場」を設置している。




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上屋敷北端から南へ、正面に日本電気本社ビルがその威容を誇っている。
日本電気本社ビルをクリツクするとGoogle

古地図で訪ねる大学の初め、「慶応義塾大学」を見ると、薩摩藩の上屋敷が近い。




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前に講演をお願いしたことのある、国民公園協会新宿御苑の本荘暁子さんにいただいた明治19年の「舶来穀菜要覧」大日本農会三田育種場の資料によると・・・・、

表紙をクリツクする
三田育種場を北から見た(上の日本電気本社ビル方面と同じ) 絵には、遠く房総の山が描かれ、東京湾には帆船が浮かび、明治5年に開通した新橋、横浜間の蒸気機関車が書き込まれている。
又、近くには競馬場の柵も描かれている。

競馬場は、明治12年に常設され、民間のクラブ興農競馬会社が
これを定期的に借り受け明治23年まで開催された。

ネット上に、「三田育種場興農競馬場」が掲載されていた。
子どもの頃、目黒に住んでいて、元競馬場と云うバス停が近くにあったので、調べていたら偶然
古い地図で巡る消えた競馬場」にヒットした。
写真を撮ったあたりが正門で、この地に1周1,200mの正式な競馬場があった。

今では芝浦海岸は埋め立てられてしまったから、日本電気本社ビルの屋上からはどんな景色が見えるのだろうか・・・・




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大正4年発行の東京三田育種場営業案内は、現在の通販カタログ。
進藤進コレクションから、

表紙をクリックする
三田育種場の本店営業所はビルになっていた。



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日本電気の敷地内に、西郷隆盛の孫の西郷吉之助が揮毫した小さい石碑が植え込みの中にあったが、屋敷跡を歩いてみて、孟宗竹は稙栽ですら見ることはできなかった。



posted by 大竹道茂 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | その他関連情報
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