フードジャーナリストの向笠千恵子先生には、一昨年の夏に江戸東京野菜のナスを取材していただいたことを、当ブログで紹介している。
昨年の11月には、月刊「味覚春秋」の新春特集として向笠先生と天ぷら「てん茂」の奥田秀助さんとで、お話をさせていただいたが、
その折り、向笠先生がウド穴を見た事がないというので、「今度、ご案内します」とお伝えしていたが、それが8日に決めたのは、1月の中旬だったと思う。
ところが6日の大雪予報で、中止にするかで心配していたが、7日の温かさで雪は消えていた。
先生とは、10時半に西武拝島線の玉川上水駅で待ち合わせをした。
お邪魔する「うど農家」は、東京都ウド連合会会長の須崎雅義さん。
前から楽しみにしていたという「ウド穴」には、生産者はやたらと他人を入れたがらないが、須崎さんは、「うど」のことを多くの消費者に知っていただけるのならと見せてくれる。
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冷たい風が吹いていたが、穴の中は温かく、
私も一緒に入って写真を撮ったが、寒い外気との温度差からレンズが曇って、シャッターを押すたびにレンズを拭いた。

上の写真をクリツクすると収穫し終わったウドの根(左)と、遠くウド穴のある雑木林。
旧の五日市街道に面した須崎さんのお宅は、東京では珍しくなった江戸時代の農地の形態を今に伝えていて、60アールの山林等を含め、3ヘクタールを所有している。
昨年、「てん茂」の奥田秀介さんを案内したときの当ブログで紹介している。
立川のウド生産者のお宅に立てられている統一看板。
上の写真をクリックすると根株の保冷庫。
休眠状態の根株は、保冷庫の中で管理され、栽培するときに「ウド穴」に移されて芽を出させるもので、一年分の根株が保冷管理されているが、須崎さんのお宅では12月から10ヶ月間栽培している。
須崎さんが、東京ウドの6次産業化の成果を語ってくれた。
ウドの効能はこれまで研究機関が色々と調べてきたが、ポーラと滋賀大学の共同研究によって、体温が低下するのを抑制することを発見し、ポーラでは「温美活」と云う和漢植物エキスを配合したサプリメントを開発したと云う。
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昨年、東京ウド連として15トンを出荷し、今年も10トンの出荷が予定されていると云う明るいニュースだ。

向笠先生は、東京都が平成22年度から実施している「都内産農林水産物を使用した料理コンクール」の審査員をされている。
須崎さんのお宅の隣町に、第1回の料理コンクール最優秀賞を受賞した小野久枝さんがお住まいなので、アポナシで伺った。
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しかし、久枝さんは風邪で寝込んでいるとかでお会いできなかったが、小野さんの御主人・東京うど連の副会長をされている小野義雄さんにお会いできたので、お話は聞くことができた。
向笠先生からいただいたメールには
「須崎さまの稀なお仕事と農業継承の志にいたく感動しました。
また、小野さんも再訪でき、うれしいひとときでした。
微力ながら、わたくしなりに、ふるさと東京の野菜と農業の活性化のお役にたちたいと、あらためておもいました。」と
向笠先生、寒い中ありがとうございました。
須崎さんの畑の並びに、立川市指定有形文化財の古民家・幕末の上層農家の建物が移築されているので、案内した。

丁度、お節句を控えた農家のたたずまいとして、座敷には農家に伝わる各時代のお雛様がいくつも飾られていた。

あいち平和町の木村農園の金時生姜ジャム、上越の食を考える会の発酵塩だし「日本海の恵み」、
そして先生の御著書「日本人が食べたいほんもの」(新潮文庫)をお土産にいただいた。
向笠先生ありがとうございました。
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遅くなったが、月刊「味覚春秋」の対談を紹介する。