先月、フードジャーナリストの向笠千恵子先生に呼んでいただいて、「すきや連の例会」で卓話として、江戸東京野菜の話をさせていただいたことは、当ブログで報告した。
集いが終わりに近づいた折り、東京會館 江戸の名工・鈴木直登総料理長が11月に平凡社から「東京會館 おせちと節句料理」を出版されたことの報告があったことは、ブログの追録で紹介した。
後日、向笠先生と、平凡社の松井純氏、湯原公浩氏の発起人連名で、出版記念パーティーのご案内がとどいた。

「雛の節句」の3月3日、東京會館本館12階の「ロイヤルルーム」で11時半からだが、東京會館は現役時代には仕事で利用していたから久しぶりだ。
案内状には、向笠先生が、「形式ばらない気楽な集まりにしたいというご本人の希望にあわせて、・・・・。
そのぶん料理に趣向をこらして、食いしん坊の方にご満足いただける内容にしたいと、仕度に励んでおられます・・・・」と、手書きの添え書きがあった。
伝統の江戸料理を志す方、取り組んでいる方、研究者等にとってのバイブルともいえるご本だ。

パーティーは、鈴木ご夫妻が席に着かれたところで、すきや連の幹事長、浅草「ちんや」6代目のご主人住吉史彦氏の司会進行で始まった。
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会場は、お祝いに駆け付けたお客様で、いっぱい !

発起人を代表して向笠先生がご挨拶。
「鈴木さんは、29歳の若さで、伝統と格式を誇る東京會館和食総料理長の重責に就いてから31年余り、食への探究心を絶やすことなく、精進に励んでこられた。
なによりそれは、師小松崎剛氏の教えを忠実に守り続けることであり、そのなかで和食の世界に新風を吹き込むことでした。
すでに「江戸の名工」のひとりに数えられるなど、鈴木さんの頑固で律儀な職人気質には賞賛の声が止まず、いまさら顕彰する必要はないかもしれません。
しかし、長年精魂を傾けてこられた おせち料理には江戸料理のすべてが凝縮しており、ご自身と東京會館の90年という節目の年に、その完全な記録を一書に残された意味と意義は限りなく大きなものです。
いわば鈴木さんの仕事の集大成であるといっても過言ではないと思うのです。・・・・」
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続いて、同誌発行責任者の平凡社・石川順一氏は
「各ページを丁寧に作られていて、鈴木氏の包丁の冴えが伝わってくる。 鈴木さんのうんちくが各ページにある・・・、」
ステージには、同誌に掲載された「お重」が展示されていたが、そのお重の所有者である名家の御当主は、「毎年、お正月に使っているが、鈴木さんにご利用していただいたことが、お正月には、末永く言い伝えられるでしょう。」と・・・
東京會館を昔から利用している、司葉子さんがお祝にみえて、鈴木さんを若いころから知っていると・・・・。
乾杯のご発声は、「すきや連」の重鎮、坂田甚内氏(栃木県益子町桜杜工房) がユーモァを交えて・・・
パーティーの行われた東京會館12階からは、二重橋が真正面に望める。
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東京會館でいただいた冊子 創業90周年記念号に当時の建物と今の東京會館が載っていた。

ステージ脇に、御内裏雛が飾られ、その前に鈴木さんの節句料理が並んでいた。
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お客様に食べていただこうと、鈴木さんがラップなどを取り除いていた。

向笠先生が、鈴木さんを紹介した中で、「暮れのお節料理をお重に詰める作業を取材させてもらったが、お節が傷まないように、暖房を切って寒い中で、幾つものお重に詰めていく、若い衆は震えながら手伝っていた」と、鈴木さんの職人気質の一端を披露した。
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鈴木さんの包丁の冴えが見える、上己の節句料理 五段重詰。

あまりの見事さに、「もったいなくて、食べられない。」と云っていたお客様も、鈴木さんが勧めて、恐る恐る箸をつけた。そうなると行列ができた。
塩の道 ぶり、さけ、いか、たい、うに、
奥野細道 江戸の料理から、水の都 大垣まで
東海道五十三次 宿場名物を訪ね
シルクロードを行く 中国三千年の味
すべての道はローマ ヨーロッパの料理
日本のお酒 全国名酒めぐり
砂糖街道と東京會館の味 長崎の味、讃岐の味、京の味、江戸の味、
東京會館の洋菓子。等が並んだ。
鈴木さんからはお電話をいただき、この時期の江戸東京野菜は、何がありますかと、ご相談を受けたのでご紹介をさせていただいた。
雛段の写真を撮っている間に、・・・・、いい写真が撮れていない。

天ぷら、飛騨牛で、すき焼きとシャブシャブ。鮨、ローストビーフ、
珍しい所では、和歌山県串本、田辺湾のヒロメ(大型海藻) のしゃぶしゃぶ。ヒロメはワカメの一種で、今が旬。
向笠先生からは、二次会もありますからとお誘いをいただいていたが、夜遅く仙台に行くのに、準備もあったので、お腹がいっぱいになったところで失礼したが、二次会も凝ったお料理だったようだ。
帰りに「引出物」をいただいた。
中には、「東京會館90周年記念のクッキー」、「ひなまつり豆壺」「宮崎都城・土は命の紅梅園の梅干し」「しいたけ節・和歌山県田辺龍神村」「たわしのストラップ」
料理人としての面目躍如で、鈴木さんの人柄が伝わってくる。
受付で一冊購入したが、「大竹さんですか!」と声をかけられた。
「前に電話で、江戸東京野菜のことを教えていただいた東京會館の・・・・。」
だいぶ前だが、東京會館和食の若い料理人三橋進吾さんで、江戸東京野菜を知りたいと電話をいただいたことがあったが、彼だったようだ。
2010年3月20日から連載を始めて、本日、アクセス累計が大台の30万ヒットをいただきました。
皆さんありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。