都内でも農地の無い区の小学校などで江戸東京野菜を栽培や給食に使う等の取り組みが増えているが、今年で創立142年を迎えた千代田区立番町小学校でも、昨年から江戸東京野菜等を積極的に給食に取り入れていた。
昨年の6月末だったか、当ブログを見たからと、同校の栄養士・藤井美穂子先生から電話をいただいた。
馬込半白キュウリを給食に出したいので、生産者を紹介して欲しいと云うことだったと記憶している。
千代田区では江戸東京野菜を初めて取り組む学校なので、是非とも藤井先生の思いを実現させたいと、馬込半白キュウリをたくさん栽培している国分寺市の小坂良夫さんが適任と、小坂さんの了解を得てから、電話番号をお伝えした。
小坂農園では、今年1月に「シェフと生産者を結ぶ現地視察ツアー in TOKYO」に協力し、当ブログでも紹介している。
その後、藤井先生からは、給食で子供たちが喜んで食べてくれたと、報告をいただいた。

藤井先生は、小坂さんとお話をして、小坂さんの栽培姿勢や、色々な作物を栽培していることを知り、ランチルームのボードに貼り出していた。
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その後、毎月のように食材を購入していただいたようだ。
練馬大根、品川かぶ、トウモロコシ、東京うど、花っこりー、おむすびッシュ、パープルスイートロード、亀戸大根、大蔵ダイコンなどを、地産地消の実践として東京産野菜を使っていただいたとか。
当日は、伊藤栄司副校長に、都内の小学校における伝統野菜の取り組みについてお話をさせていただいた。
同校のアイデンティティの1つに、伝統として「江戸、東京の文化の継承」がある。
藤井先生の熱心な取り組みのバックには江戸、東京の食文化の継承も感じ取れた。
小坂さんも一生懸命で、今年度は江戸東京野菜を栽培したいという藤井先生の依頼に、馬込半白キュウリの苗を用意していた。
対象は2年生で、小坂さんは「番町小学校、馬込半白キュウリ植え付け大作戦」と称して、植え付けの仕方を、解りやすく説明した。
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小坂さんは、スクールゾーンが解かれる9時を待って同校に荷を運び込んだ。
都心の学校はどこもでも同じで、日照時間が少なく、同校でも指定された畑には11時まで陽が当たらなかった。
前日も来て、スコップで深く耕していあった。 骨粉の代わりには天然有機質の蝙蝠の糞・バットグアノ。
2年1組(担任・岩渕知香先生) 27名、と2年2組(担任・藤枝伸行先生)27名。
担任の岩渕先生、藤枝先生の理解もあって実現したもので、4人がグループで役割分担、事前に耕してあったので、生徒は素手で穴を掘って定植した。
質問がある人! と先生に促されて、男の子から水のやり方について・・・。
小坂さんは、「今日、水をやる以外は自然のままで、あげる必要はありません。植物が水を欲しくなれば、根を伸ばし水を吸い上げます・・・・」
「毎日の成長を観察してください。」に対して「はぁい〜!」と大きな返事が返ってきた。
同校は、1871年(明治4年)創立。学制発布以前に設立された伝統校で、番町小学校、麹町中学校、日比谷高校、東大進学は、エリートコース。
同校の廊下には東大の五月祭のポスターが貼ってあった。

同校へは、四ツ谷駅で下車して土塁の上を歩いた。
四ツ谷から市ヶ谷の間は、都内では珍しい黒松の群生地になっていて、いつもは中央線から見上げていたが、土塁の上から黒松越しに初めて電車を見下ろした。
ひっきりなしに中央線、総武線が行きかっていた。