日本橋「ゆかり」の二代目野永喜一郎社長から、電話をいただいた。
「話したいことがあるから、来ないか!。」 と云うものだった。
前に伺ったことは、当ブログで紹介しているが、特別なお話かと思って数日後に伺った。
野永社長は、京都には京野菜があり、金沢には加賀野菜があるように、江戸にも江戸野菜があるのではないかと、2006年頃から築地市場で探してくれていた。
当時、築地でも東京シティー青果が、近郷物として東京の伝統野菜を集め始めていた。
しかし、同年暮れの築地には、練馬大根、小松菜、滝野川ゴボウ、千住ネギしかなかったと云われた。
2007年の春に「江戸からの伝統野菜があるなら、どんどん栽培してくれ! 使いたいから」と、背中を押してくれたのが、野永社長で、それから生産者も増えたし、復活の取り組みも積極的に始めた。
お店の入り口に、「釣りしのぶ」がかかっていた。
前に聞いたことがあったが、江戸川区指定無形文化財の深野晃正氏が作ったもので、野永社長の日々の管理が良いから5〜6年経って、深山幽谷を彷彿とするまでの風合いとなっている。
昭和50年、先代の深野さんにお会いしたことがあって、その頃、晃正氏は先代について修業をされていたが、江戸の文化を今に伝える名人となっていた。
お通し あお梅羹
約束の17時半に、お店に伺った。
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「日本橋ゆかり」では、三代目の喜三夫氏が、加運多(カウンター)の向こうで、お客さんを前に料理の腕を披露していた。
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前菜は、鉢には鱧の子、葉蘭にはサーモンの押寿司、
野永社長には、江戸東京野菜の、最近の動きを報告させていただいた。
早稲田ミョウガの話、府中の御用瓜と鳴子ウリの復活についての取り組み。
今年、予想される「江戸東京野菜」の、新規品種についてなど・・・・

お椀は、冬瓜テール。木の芽をどけたら冬瓜を繰り抜いて、オックステールが入っていた。
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お酒は、同店オリジナルの「ゆかり酒」を菊の御紋の入ったグラスでいただいた。、
灘の老舗蔵「櫻正宗」の超特選 純米吟醸、春の園遊会御用酒をいただいた。

お造り
しろ瓜を器に、メジマグロの他、穴子やイカなど白身魚で、涼しげな演出。
ツマモノも江戸東京野菜の、紫芽に花穂、
お醤油と大葉のタレ、特別にこれも美味しいと、社長に勧められた当店特性の納豆ダレ。
メジマグロを納豆ダレでいただいた。
野菜を器にする発想はお洒落だ。

焼き物はスズキに蓼おろし。
蓼は、鮎のシーズンに蓼酢にして使われるが、大根おろしに加える使い方があることがわかった。

北海道の生ウニに、京都の汲み上げ湯葉と東京のトマト。
三代目が考案したお料理だと社長。
これまでは、トマトをこのように使わなかったが若い料理人の発想だという。
汲み上げ湯葉とトマトを混ぜていただいた。

食事は、雑炊、デザートは、特性のいちじくとシャーベット。
紅茶で色づけしたシャーベット。

上の写真をクリックすると同店のホームページ
三代目の喜三夫氏は14年前「料理の鉄人Japan cup'02」で、中華の陳建一鉄人を破って総合優勝している。
今日は、ご馳走になるつもりで来たわけではなかったが、すっかりリラックスしてお話をさせていただいた。
野永社長には、江戸東京野菜についての思いを改めて伺った。 また、ご指摘もいただいた。
野永社長ありがとうございました。