都立瑞穂農芸高校の横山修一先生に高倉大根の生産者が一人になってしまったことや、生産者の立川太三郎さんが種採りをしていることなどを話したことがあって、一度話を聞きたいというので連絡方法を伝えてあった。
数日前、立川さんに、馬込三寸ニンジンの播種後の様子を聞くために電話をした時に、立川さんから、今度、瑞穂農芸の生徒さんたちが来るという話を聞いていた。
横山先生は、荒田靜さん、辺土名聖美さん、細山田真渉さん(食品科1年生) と一緒にやってきた。
立川さんのお宅は八高線の小宮駅に近い。同校のある箱根ヶ崎駅からは八高線で一本だ。
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学校で栽培した、江戸東京野菜の「寺島なす」と「雑司ヶ谷なす」を、土産に持参された。

高倉ダイコン全盛期の写真を見せてもらった。
スダレ干しの写真は、八王子八十八景に選ばれた当時の写真だそうだ。
高倉ダイコンも揃いが悪いことから、干す段階で長さを一定に切るそうだ。
切り取った大根は、切り干し大根などにしないのか、聞いてみたが、立川家ではやっていなかったようだ。
高倉大根は葉を切り落として干すが、葉を切り落とさないでそのまま干す方が乾燥しやすいようだが、大量に干す関係で、葉を切り落とすのだという。これは、練馬大根でも同じだ。
高倉ダイコンの地域での食べかたについても聞いていた。
干し大根をざん切りにして、昆布、柚子で漬けたり、ビールで漬けたり、良く干しあがっていると糠を多めにして漬けると塩が少なくても、美味しくつかるという。高倉ダイコンは煮ても美味しい。
かつて明治・大正の頃は、干し大根として地元八王子市の繊維工場に納められ、工場で漬けて職工の食事に出されていた。
遠くは信州、諏訪や岡谷あたりの繊維工場にも納められていたという。
栽培についても、質問されていたが、害虫は、根切り虫、芯食い虫が多い。
軟腐病はこの辺りでは出ないが、キャベツの後作より、トウモロコシの後作はよくできる。
減農薬有機栽培を行っている立川さんは、ソルゴーなど、緑肥をすきこむ方法をとっていて、大根の肌を美しくするための努力をされていた。
瑞穂農芸高校でも栽培したいという横山先生の要請で、立川さんが採種したタネが手渡された。
高倉は、葉がほきるので、27センチ穴のマルチを使っているという。
マルチのない時代は、土寄せを行っていた。
播種は9月上旬で、収穫は12月上旬から20日ごろまでで、70日。10アールで5,000〜6,000本だという。
それにしても、次代に引き継ぐ一つとして、若い学生たちにこれまでのノウハウを伝えることは、立川さんとしても望んでいることだった。

八王子地区の普及活動には、江戸東京野菜コンシェルジュ育成協議会の役員をされている福島秀史さんが取り組んでいるので、福島さんにも来てもらっていた。
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立川さんからは、素麺カボチャが良く採れたからと、一ついただいた。
また、横山先生も、学校で採れた寺島ナス、雑司ヶ谷ナス、インゲン豆を持ってきていて、福島さん共々、お裾分けをいただいた。
馬込三寸ニンジンのタネをお渡ししたことは当ブログで紹介したが、播種したものの、この天気でまばらに生えた程度だったというので、F1種で播き直したという。