「第3回 江戸ソバリエ・レディース・セミナー」のことは、当ブログで紹介した。
このセミナー、料理研究家の林幸子先生が、毎回、旬の江戸東京野菜を使って、そば料理を創造するという、人気のセミナーだ。
テレビ東京の「ソロモン流」では、創造性豊かなレシピを次々と考案、食材の新たな魅力を引き出す林先生に密着、江戸ソバリエ・レディース・セミナーの食材探しにもついてきていた。

レディース・セミナー開催にあたっての食材は、
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今が旬のマクワウリを栽培する足立区興野の農家内田さんのお宅に案内したが、宏之さん、和子さんご夫妻が出迎えてくれた。
内田さんのお宅は、舎人ライナーの高野駅から東に10分ぐらいの位置関係になる。
夏になると、収穫したウリを冷やしておいてサラダにして食べるのが習慣で、これを食べないと夏が来たような気がしないと宏之さんは云う。
固定種だから、揃いが悪く、甘みも個体によって違いがあることから、甘みの強いもののタネを採っていて、翌年に播いているそうだ。

このマクワウリ、「本田(ほんでん)ウリ」と云うもので、江戸の頃は中川流域の本田地区(現在の葛飾区立石地域) 大振りな「まくわうり」として、江戸では人気があった。
内田家で栽培されていることがわかったのは、2009年で、和子さんが、江戸川分場(東京都農林総合研究センター) に電話をして種採りについて尋ねたことからその存在が分かった。
それまでは自家消費が中心だったから、我々も知ることができなかった。
そこで、都政新聞に取材してもらっている。
数年前から、飲食店からの需要があることから、一ヵ月以上にわたって出荷できるように、数カ所に分けて、それも定植期をずらして栽培している。
今年の夏は、異常な暑さで10日程、収穫期が前倒しになっていて、他では収穫期が終わってしまったが、内田家では、次々に実っていた。
林先生が収穫したウリは、1s以上あって、ずっしりとした感じ。
和子さんに切ってもらったが・・・。
タネの取り方にも流儀があるようで、タネを包んでいる「ワタ」は甘くておいしい所なので、タネと一緒に取り除くのではなく、ワタを押すようにしてタネだけを取り出すと云う。
林先生は、味わっていたが、このウリを使った蕎麦料理が浮かんだようだ。

次に向かったのが、内田さんのお宅から北に車で15分ぐらいの、足立区栗原の「つまもの」農家・宝谷實さんの畑。
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宝谷さんのお宅は、菜花の取材で4月にお邪魔していたが、その時に鮎蓼も栽培しているところを見ていたし、なかなか需要が少ないと聞いていたので、鮎以外に活用するよう、新たなメニュー開発を支援したいと思っていたので、林先生をお連れした。
一般消費者などはなかなか手に入らない。
林先生、葉をちぎって口に入れたが、しばらくして「辛い!」。後で辛さが口いっぱいに広がるという。
今回は、江戸ソバリエ・ルシックの松本一夫さんも取材で、林先生に付き添った。
ハウス内を覗くと、そこには「紫芽(むらめ)」が生育していた。
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この紫芽、収穫はハサミで行う。宝谷さんに実際に収穫してもらったが、しゃがみこんで収穫する作業に、林先生もびっくり、
また、収穫した紫芽は、赤い葉裏を見せるように箱詰めするが、生産者の美学も代々伝わっている。
作業場の片隅に小箱が積んであった。
紫芽を詰める木の小箱で、箱詰めには事前に水に漬け水をたっぷりと吸わせ、それに詰めていく。
木箱だから保水性があり、切り取った紫芽の鮮度が保たれ、発泡スチロールには変えられない代物。
現在では一軒になってしまったが、まだ製造する業者が残っているというのもすごい。
最近は、安い「紅蓼」が出回っていて、江戸東京野菜の「紫芽」は苦戦している。

宝谷さんが、ハウスの脇で自家用に作っている「谷中しょうが」を抜いてくれた。
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また、昔栽培していた「青じそ」も残してあると見せてくれた。
かつて足立が産地だった頃は、「青じそ」と云っていたが、愛知県豊橋に大産地が出来てからは、「大葉」と呼ばれるようになった。
「大葉」は、関西方面で呼んでいた呼称だが、和食の料理人は京阪で修業したものが多く「大葉」の方がしっくりするらしく、「青じそ」の呼称は忘れられようとしている。
「青じそ」は葉面がデコボコしていたが、いつからか「大葉」は、葉面が平らな品種になっていた。
大葉を敷いて、その上に魚介類を乗せることも多くなったからだろう。
林先生の食材探しに密着
「ソロモン流」は、9月8日、21時54分から放送予定で、す。ご期待ください。