「伝統野菜は長老に聞け ! 」と、当ブログで案内したのは一週間前だったが、30数名の方が新宿のアグリパークに来てくれた。
計画は、だいぶ前に植松敬先生にお話ししていて、大蔵大根と下山千歳白菜に関してお話しいただくために、関連の写真を探し出してもらっていた。
写真をいただきに、豪徳寺のお宅に伺ったのが12日だった。
お願いしていた写真の順番を整理して、パワーポイントに整理するためだ。

植松先生は、数日前の14日に90歳の誕生日を迎えていた。
上の写真をクリックする
前日も、預かった写真が順番通り整理できたか心配されて、電話をいただいたが、下山千歳白菜と大蔵大根に分けて、お話ししやすいように整理しましたと、お伝えしたら安心されたようだった。
伝統野菜に取り組む各県とも同じだが、時間との闘いなのだ。
詳しく知る方々が、ご健在なうちに色々と聞いておかねばならないことが沢山ある。
東京では、平成4年にJA東京中央会が「江戸東京ゆかりの野菜と花」(農文協)を発刊した時に、当時ご健在だった方々に集まっていただいて執筆していただいたが(植松先生にもお願いしている。) 早めの対応が、今、江戸東京野菜の復活や保全に生かされている。
植松先生には一昨年、都立園芸高校にも行ってもらって、生徒たちにお話しいただいている。

植松先生は、昭和30年に、「バイラスにかからない白菜の作り方」のスライドを作成している。
今回、それを再度解説いただいたが、かつてこのスライドで、夜、農家を集めた支部座談会で説明したようで、改めて全編を解説していただいた。
当時、カメラが普及していなかった時代、植松先生は、給料の一年分ほどした、キャノンの高級カメラで、農作業の様子を、撮影しまくっていて、映像から当時の様子が良くわかった。
また、大蔵大根についても「井上泰次郎と大蔵大根」として、昔の貴重な写真を見せていただいた。
当日は、世田谷で伝統大蔵大根を栽培している大塚信美さんも出席されたので、植松先生とのトークも良かった。
植松先生の指導で母本選定を行ったことは当ブログでも紹介している。
「野口のたね」の島田雅也さんが「大蔵大根(固定種)」のタネを10袋程持ってきていたので、皆さんに紹介したら、皆さん欲しかったらしく、完売と云っていた。

押上「よしかつ」の佐藤さんは、大蔵大根の切り干しと昆布に、醤油と日本酒と味醂を1:1:1で漬けたものを作ってきてくれて、先生に土産に渡された。
私もいただいたが、懇親会の席で皆さんに食べていただいた。
上の写真をクリツクする
東京で、固定種・在来種の大切さと、野菜を広める活動をしている、高橋一也さんもお見えになり、珍しい「山口在来のキュウリ」と「長崎の青なす」をいただいた。
江戸東京野菜の料理研究家・酒井文子さんは、ミュゼダクリの農家見学会で下山さんのお宅に伺い、下山千歳白菜を購入し調理した経験を話してくれた。

江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座を受講した方々が、引き続き懇親会を行った。
皆さん、たっぷりの写真・映像で説明いただいた、植松先生の話には感動されていた。
今回、戦後の東京農業をリードした、世田谷等々力の「大平信弥」さんの話をされたが、今度は、大平さんの話も聞きたいので、植松先生にお願いしようと思っている。
植松先生は、2時間みっちりとお話しいただいた、お疲れだったろう。
先生、ありがとうございました。
江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座講師としてご参加された中田哲也先生が、ご自身のブログに当日の様子を掲載していただいた。