江東区立第五砂町小学校(齋藤和子校長)で、砂村一本ネギのタネが5年生から4年生に贈呈(伝達)された。
伝統野菜は、タネを通して昔から命が今日まで繋がっている野菜だ。
江東区・砂町地域の歴史を学習する中で、今年度も4年生が継続して栽培することで、地域に、より興味・関心をもち、伝統野菜を復活させることが野菜をより身近に感じさせ、進んで食べようとする気持ちを育てていきたい、さらに種から育てることで命のつながりも理解して欲しいと、
平成22年度より、4年生が栽培を始めた。
その後、採った種を8月に、5年生より4年生が譲り受け、毎年種をつないで、今年で3回目の伝達式が行われた。
当日は、NPO Green Works の三浦澄香さんと東方陽子さん、同校の隣にある江東区立第二砂町中学校卒の木内茂二さんが、その様子を参観に、来られた。

砂村新左衛門の新田開発によって遠浅の海は広大な農地に造成された砂村。
幕府は、摂津(大阪)から呼び寄せた農民たちを入植させ、砂村は江戸の農業先進地になっていった。
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江戸時代から栽培されていた砂村ねぎは、城東区時代に東京都農業試験場の東京都特産砂村葱採種場に於いて守られてきた。
今回、齋藤校長との雑談の中で、採種場が第五砂町小学校の北にある、第七砂町小の近くにあったと、また、第五砂町小は、江戸時代の海岸線に位置することなど、教えていただいた。
確かに、同校の南側を走る東京メトロ東西線の辺りから南に土盛りされた形跡が見て取れる。
今年から、第五砂町小に齋藤和子校長が来られた。
齋藤校長の理解を得て、引き続き、砂村一本ネギを栽培し、「砂村一本ねぎ」について知り、地域により興味・関心を深め、ねぎの種まきをして、育てることで進んで食べる気持ちを醸成する学習が行われている。
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ネギの栽培は、学習期間と一致しない。
しかし、それを上手に授業の中に取り入れている。
8月に播種して栽培し、5月(5年生)になって収穫し、給食で食べる。
そしてタネを採り、8月に4年生にタネの贈呈をすると云う流れだ。
5年生が、4年生に、大切に育てた、思いの丈を伝える。
4年生は、クラスの皆に、これからの栽培に向けて、「一生懸命に育てよう ! 」と、決意の同意を求める。

ボランティアの藤浪三男さんが、3クラス121名を前に、タネの播き方を指導する。
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藤波さんは、同校の近くにお住まいで、江東区の「田んぼの学校」の指導者として活躍していところで知り合い、3年前に同校に紹介して以来、藤波さんはネギばかりか、稲作指導もしていると云う。

4年生は明るく活発で元気だ、
2年生の時に小松菜を育てて、野菜についてはとてもよく食べている。
昨年度、総合的な学習で大豆を取り上げ、栽培から枝豆のさや取り、きなこ・豆腐を作り、研究授業を行い、食への関心が高まった。
「ごみのゆくえ」の発展学習では、その後の残飯に変化が見られたようで、この学習でも期待ができる。
生徒達は、江戸東京野菜について興味を持ち始めているという話を聞いて、小平市の宮寺光政さんから、内藤とうがらしの鉢植えを3クラス分3鉢、預かってきたので、学年主任の蓮川知恵子教諭から生徒に報告してもらった。
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内藤とうがらしは赤らみ始めていた。

銭元栄養教諭は、砂村一本ネギ以外にも江戸東京野菜を給食に使おうと、江戸川区の農家・木村重佳さんから、寺島ナスを購入したという。
帰宅すると銭元先生からメールが届いていた。
「寺島なす入りのドライカレーは、どのクラスもよく食べていました。
4年生の児童の中には、なすが「少し苦い!」という声があったので、「それは寺島なす
だよ。ほんの少ししか入っていないけれど、当たりだね!」と言いました。
職員室でも、なすを食べながら「味が違う!」と言う先生がいました。
児童へのお手紙にも
「−前略−きょうのこんだては・なすと豆のドライカレー・ぎゅうにゅう・じゃがいもいりサラダ・なしです。−略−夏においしい「なす」を揚げていんげんまめといっしょにドライカレーに入れました。
きょうは「寺島なす」といって、五砂小でそだてている「砂村一本ねぎ」とおなじように今はほとんど作られていない「なす」をとくべつ手にいれて、ほんのすこしだけまぜました。
ふつうのなすとくらべると小さいですが、トロッとしておいしいなすです。」と知らせました。
今回、砂町の名がつく中学の栄養士も来ていて、育てたいと申し出がありました。
本校だけでなく、広がっていくと嬉しいと思っています。」とあった。
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寺島ナスと、普通のナスとの違いを説明する銭元栄養教諭。
お代わりが多くて、完食!。 少しだが寺島なすが見て取れる。

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全員で「頂きます」をした後、すぐに前に置いた野菜サラダのボウルに行列ができた。
最後の2人がボウルを綺麗にした。
1組の蓮川教諭は、「銭元先生の指導で、2年生で小松菜、3年生で大豆を勉強してきただけに、みんな野菜が大好きです。」と話しておられた。
みんな、そんなに野菜が好きなんだ! 。
1組だけじゃなく、2組、3組とも完食だ !。
梨も3切れ残ったが、10人の生徒がジャンケンで決めた。
「内藤唐辛子も大事に育てていきたいと思います。宮寺様にもよろしくお伝えください。お世話になりました。」とメールにあった。
また、東方さんからも、メールが届き
「寺島ナスの給食までご馳走になるとは、感謝感激です。
子ども達の授業を通じて受け継がれてきた命の尊さや
食への感謝の気持ち、江戸の食文化の歴史など一緒に学ばせていただけたことに改めて感謝申し上げます」とあった。
同校の取り組みを、多くの人たちに伝えてください。
同校では「砂村一本ねぎを復活させよう」〜砂町ゆかりの野菜を知ろう〜として、2010年から取り組んでいて、当ブログのトップページ左のカテゴリーに「砂村一本ネギ」にまとめて掲載している。