11月のNPO法人ミュゼダグリの農家見学会は、足立区のつまもの生産農家・横山修平さんの仕事を見せてもらった。
横山さんのお宅には、今年の春先、固定種の小松菜で菜花(なばな)を収穫しているというので、同じ栽培農家の宝谷實さんに連れてきていただいたことがあったが、そのことは当ブログで紹介している。
横山さんには、毎年、東京都農業祭の江戸東京野菜展示用に出品していただいていて、今年の会場でも、その繊細な仕事ぶりに見入る方々が多かった。
その一人、イラストレーター&ガーデニングクリエイターの たなか やすこさんに、「こんど見学に行きますから良かったら」と誘ったら、集合場所の舎人駅にみえていた。
今回は、みなさん見学したい作物だったが都合がつかず、都政新聞の細川奈津美記者のほか納所二郎さんだけだった。

多くの方々が、「これはどのようにして食べるの?」、「どこで売っているの?」などと聞いてくる。
「芽かぶ」は、椀物の具として使われ、羽子板の羽根になぞって、お祝いの膳に乗る椀物がポピュラーだが、高級食材の一つとして、和食の老舗などがお客さんだった。
したがつて、スーパーなどでは、目にすることはなく、築地市場には、つまものを扱う専門の仲卸の青果会社がある。
横山さんのお宅は、足立区舎人(とねり)の農家で、修平さんは12代目で57歳。
モノレール舎人ライナーの舎人駅から7-8分のところ
先代の時代は、水田農家だったが、この辺は、昭和40年代、下水道の整備が遅れにより、用水に家庭の雑俳水が入るようになり、水田が続けられなくなり、その後畑作に転換された。
横山さんが「芽かぶ」に取り組み始めたのは、平成元年からだそうで、足立農協青壮年部の小櫃俊孝さんが、出荷しているのを見て、見よう見まねで始めたという。
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まるき方は、最初に持った小カブを小さめのものを選んでから、それを基準に8個のカブでまるく。
手先の細かな手さばきに、しばし見入ってしまった。
この種、金町小カブ系の「たかねこかぶ」(交配種)だうだ。
江戸東京野菜の条件は、固定種か、従来の栽培法などによる、としていて、伝統のつまものとして、伝統の栽培方や荷造りなどから、江戸東京野菜とされている。

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細かな手作業がたくさんある。
風雨に叩かれた中で、土の汚れがついているが、電動の散水機で柔らかく洗い流す。

露地栽培の芽かぶを見せてもらった。
正月明けに播くのが最後で、春の彼岸まで出荷され、それ以降は、菜花の生産か始まるという。
今年は、台風の影響で、特に強風にゆすられて傷んだものが多く、畝が流されたところもあった。
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ハウス内でも、3〜5日の間隔で二条播きの播種機で4回種を播くのだという。
これは、横山家で作業をするには、5日ぐらいのローテーションで、1ヶ月(ハウス内)作業をするのだとか、芽かぶを出荷しているときは、休みが取れないという。

隣に、ワケネギが栽培されていた。
ワケネギは、分けつ性のネギで、一本のネギから子ネギが次から次へと生まれて株状になる。
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横山さんに、収穫してもらった。
根が絡みあっているところをちぎって、根を分けた。
強風の台風26号でネギが寝てしまったことがあったが、その時の名残が生育に現れていた。

自家採種した固定種の小松菜を播いて、菜花用の準備をしているが、ゴールデンウイーク頃から咲き始めるそうだ。
畝と畝の間を広くとっているが、大きく茂った菜花を摘み取るのに、摘み取りやすいからという。

取材が終わったところで横山さんが庭に実っていた、鬼柚子をプレゼントしてくれた。
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そして、一歳柚子、本柚子も。
原木の椎茸も頂いて、たなかやすこさんは大喜び。
後継者の辰也さんが、枝豆をもぎ取っていた。
横山さん、お世話になりました。

商品にならない不揃いの芽かぶをいただいてきた納所さんは、味噌汁に入れたところ、カブの甘さと、葉の味が濃く、美味しいとのメールをくれた。