同志社大学大学院教授の加藤千洋先生から、ご著書「辣の道」(平凡社)を贈っていただいた。
加藤先生は、もう10年ほど前になるが、久米宏氏の「報道ステーション」(テレビ朝日系) のコメンテーターを長くされていて、穏やかでわかりやすい解説で、人気のコメンテーターだったと記憶している。
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数年前に、中国のトウガラシ多食地帯をルポしたものを、本にまとめていると伺っていたが、それが「辣の道」だった。
伝統野菜には一つひとつ物語があるが、400年前、スペイン人が貿易船で福建省や、浙江省に持ち込んだトウガラシ、それが長江沿いに遡り、内陸の四川省にたどり着き、四川の食文化を育んだと云う。
加藤先生が、四川省からのルートを追って、中国大陸2500キロを旅してのルポは読みやすく興味深い。
旅では京都の万願寺甘とうや伏見トウガラシなども登場、そして江戸東京野菜の内藤トウガラシで締めくくっている。

昨年、加藤先生からメールを戴いた。
内藤トウガラシの話を聞きたいと云うもので、丁度、江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座(入門編) が新宿で行われた時に、駅ビルの喫茶店でお会いした。
実は、東向島の第一寺島小学校で「寺島なす」が復活され、地域興しが始まった2010年10月、江戸東京野菜のドキュメンタリーを作りたいと云っていた東京サウンドプロダクションの堀信氏が、「にほん風景遺産」(BS朝日)を企画したが、
この番組で、加藤先生が江戸東京野菜の栽培の地、小金井、国分寺の生産者の元を訪れ、そして、向島百花園の佐原滋元さんの案内で寺島ナスや、江戸の砂糖菓子・向島の梅鉢屋などを紹介していて、良い番組に仕上がっていた。
加藤先生には初めてお会いしたがそんなご縁があったのだ。
同誌では、「第三章 私と唐辛子、日本の唐辛子」の「その四 江戸の唐辛子の風景」で、江戸東京野菜の内藤トウガラシを取り上げていて、最初に私の事を書いていただいた。
恐縮です。
内藤家17代当主 内藤頼誼さん、そして、内藤トウガラシで新宿のまち興しを進めている成田重行先生の取り組みも紹介されている。
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加藤先生は、東京外国語大学中国語学科を卒業され、朝日新聞記者時代に北京特派員としての中国報道では、国際報道に貢献したジャーナリストを表彰する、ボーン・上田記念国際記者賞を受賞している。現在、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授としてご活躍中だ。