日本伝統食品研究会主催で東京家政大学共催、東和食品研究振興会後援による「第60回伝統食品に関する講演会」は、4月26日(土) 13時から東京家政大学板橋キャンパスで開催された。
今回のテーマは「江戸に始まり現代に至る食品産業の流れ」と云うことで講演の依頼を受けたことは、当ブログで紹介している。
講演会は、同研究会の宮尾茂雄教授の司会進行で始まり、藤井建夫会長の開会のご挨拶についで、「江戸東京野菜」についてお話をさせていただいた。
今回は、食品産業の皆さんや、それを目指す学生さん、研究者等、同研究会の会員の方々で、江戸東京野菜をご存じない方も多いだろうと、「伝統野菜とは!」から入って「江戸東京野菜」に取り組む各界の方々の活躍ぶりを紹介。
そして、6次産業化の動向についても紹介した。
最近のことでは、内藤とうがらし弁当の話題から、これまで商品化され当ブログで紹介した「七福神漬」等を紹介した。

続いて、江戸前の漁師・大平丸の大野一敏社長の話は、興味深いものだった。
江戸時代の江戸前の海は豊かだった。
大野社長は、魚はコハダしか食べないそうだ。
アサリのぶっかけ飯が漁師の伝統食だ。
出漁は月に10日しか出られない。
獲りすぎないように10日は休み、10日はシケで休みだそうだ。
上の写真をクリックする。
大野社長は、教壇でおもむろに黒い上着を脱ぐと、下は黒の半そでシャッ。
潮風で鍛えられた肌は75歳とは思えない若さで、「寒くない!」と、1年中半袖だという。
教壇を端から端まで使ったオンステージで、圧巻は最後の、巻き網を引く漁師歌は迫力があり、聞き入ってしまって写真を撮るのを忘れてしまった。
私の話は、多くの情報を、いただいた1時間内にパワーポイントを使って、一瀉千里、詰め込んだので大野社長に比べると若さが出た。(笑)
大野社長は「大竹さんには参った!」と半分あきれていた.
休憩時間に、写真を撮らせていただいて、名刺交換をさせていただいたが、好意を持っていただいたらしく「今度一杯やろうと、お誘いを受けた」。
ありがたいことで、実現したいと思っている。
大野社長の講演を伺っている間、家から何度か電話がかかっていて無視していたが、留守電を聞くと身内の急逝の知らせだったので、藤井先生、宮尾先生にお詫びをして、席を後にした。
3人目の武田平八郎先生(日本食品新聞社代表取締役) の「佃煮・珍味類の歩みから見る伝統食品の産業化への道」を伺いたかったが、残念だったし、武田先生には失礼をしてしまった。
それでも新たな出会いがあった。
東京都立食品技術センターの三枝弘育所長と竹友直生主任研究員で、かつて、宮尾先生が同センターの研究報告書に「東京伝統野菜のビタミンCおよび硝酸態窒素含有量と書こう原料としての一考察」を掲載している。
お二人には、「色々お願いすることがあるんです!」と江戸東京野菜の機能性の研究を、お願いしておいた。
また、練馬大根を洗うのに鮫皮を使った話をしたが、鮫皮について調べている小山一夫氏から詳細な質問があった。
5月31日に「伝統野菜は長老に聞け!」で、鮫皮の話が聞けるので来てくださいと伝えた。
尚 同講演会には、「農」のある暮らしづくりアドバイザーとして、都市農地センターから派遣されたもの
会場で、東京家政大学のパンフレットをいただいた。
日本伝統食品研究会の藤井会長(東京家政大学特任教授)が、冒頭のあいさつの中で東京家政大について紹介されたが、
国家試験・管理栄養士の合格は昨年149人が受けて147人が合格し、100名以上が受けて99%の合格率は3年連続だという。すごい。
同大の「江戸東京野菜の会」のリーダー佐竹未希さんも、管理栄養士をとり、埼玉県の栄養教諭として今年就職され、会場にも来て聞いてくれた。
佐竹さんのご活躍をお祈り申し上げます。